どーも、こんにちは。山田です。前記事にも書きましたが、娘の誕生日を祝うためにアンパンマンミュージアムに行ってきました。

アンパンマンってすごい…!と改めて感じましたね。
だって、まさに0歳児から3歳児くらいにかけてでしょうか。この層の心に刺さるキャラクターを生み出すことは本当に難しいことだと思います。
正直、大人の我々は、その子たちの心の中を想像できない。その年齢の子たちは、宇宙人みたいもんですから。笑


4歳からは徐々に思考が生まれるので、大人の我々も心の内全てとは言えませんが、ある程度は理解はできるようになります。
ただ、3歳児までの思考も何もない、感情で生きる彼らをここまで魅了するキャラクター「アンパンマン」とは一体何なのか。0歳児だった私の娘ですら、おぼろげに「アンパンマン」と言って、キャラクターの顔を認識しているんですよ…驚愕の極みです。笑
アンパンマンの生みの親である「やなせたかし」さんには尊敬の念を送らざるをえませんね。あっぱれでございます。
ちなみに、朝ドラも絶賛放送中ですが、私は見ているわけではございません。なかなかドラマを観る気にはなれなくて。見たら見たで絶対はまりますが…。笑
アンパンマンミュージアムの中に小さいですが、やなせたかしさんが描いた絵や言葉が展示されているコーナーがありまして、見させていただきました。
写真NGの展示や注意書きにSNSへのアップロードに対する注意喚起など、ありましたので、ここでの掲載は控えさせていただきますが、いつも見るアンパンマンの絵ですが、心に響くものがあるんですよね。
アニメでは味わえない、やなせさんの思いがしっかりと乗っていると言いますか。まさに「作品には魂が宿る」そのものですね。
その中でも、素晴らしい詩画がありました。
ぼくが空をとんでいくから きっと君をたすけるから
特別エリア「しってる?やなせさんとアンパンマン」 展示品より
この言葉にアンパンマンのイラストが添えられていました。いやぁ、かっこいい。心に響きましたね。
やなせさんの人としてのかっこよさを存分に伝わってきます。実際、アンパンマンがどれほどの人に愛と勇気を与えたか見当もつきません。
言葉は人の権化。やなせたかしさんの言葉をもっと知りたく、一冊の本を買ってしまいました。
勇気をもらえる一冊でした。やなせさんの人間性や人生観、諦めないことの大切さなど様々なものを教えてもらいました。
ここからは、私が読んだ本の一部分をご紹介させていただけたらと思います。
驚いたことにアンパンマンのアニメがヒットし、世間に知られてきたのはやなせさんが69歳だった時だそうです。
晩年も晩年で、遅咲きもいいところですが、様々な仕事をしながら漫画家の道を諦めずに進んできたそうです。

そんなやなせさんは朝ドラでご存知の方も多いとは思いますが、順風満帆な人生ではなかったそうです。
お父さんが戦争で早くに他界してしまい、お母さんも再婚することになり、やなせさん自身は養子に入った弟の家族と共に暮らすことになるそうです。
その家族の方々はやなせさんを温かく受け入れてくれたそうですが、養子に入ったわけでもない。言ってしまえば赤の他人です。
孤独の思いに苛まされ、自殺を考えることもあったそうです。
その後は、戦争が苛烈となり、やなせさん自身も出兵したそうです。命の危険があるような現場には出くわさなかったものの、ご飯にありつけない日々が続き、飢えには本当に苦しんだそうです。
その苦しみを、これから誰しもが味わわないようにという願いで描かれたのが「アンパンマン」。
作中では、困っている人がいないかパトロールをして、見つけたらすかさずに、自分の顔を食べさせて、元気にさせる「アンパンマン」にはそんなやなせさんの思いが込められているのですね。
ぼくが何かをやるとしたら、まず餓えた子どもを助けることが大事だと思った
桑原晃弥著 「いくつになっても夢を追い続ける やなせたかしの言葉」
先に、一つの詩画に描かれた言葉を紹介したが、こんな言葉もありました。
アンパンマンが助けに行くことはできないけれど、(中略)作者としてそれに値することをしなくちゃいけない
桑原晃弥著 「いくつになっても夢を追い続ける やなせたかしの言葉」
東日本大震災に被災した少女が「私は怖くない。アンパンマンが助けに来てくれるから」と話したそうです。実際、現実的にアンパンマンは助けに行けない。でも、この少女の心の支えにはアンパンマンがいて、きっと苦しい日々を明るいものに変えていったことでしょう。
やなせさんの思いが、アンパンマンを通してちゃんと子どもに届いているんですね。
なぜ、子どもに響くのか。それを裏付ける言葉もありました。
幼児向けの作品は、幼児用だというのでグレードをうんと落とそう、というふうに考えるんですね。(中略)僕もそれを要求されたけど、それは違うんです
桑原晃弥著 「いくつになっても夢を追い続ける やなせたかしの言葉」
この言葉は、本質を突いていますね。子どもを子ども扱いするのではない、子どもを一人の人間として受け入れる。
子どもへの教育も、そうだと思います。子どものしつけではない。向かい合う一人の人間として、自分の思いをぶつけていく。親子関係に上も下もない。そこにあるのは一人対一人だと思うんですよね。

しつけでこうあるべきを押しつけてしまったって子どもには響かない。アンパンマンが子どもに響いているのは、やなせさんが子どもと真に向き合えているからこそだと感じます。
最後に、やなせさんの正義感について。印象に残った言葉でした。
大きなことは考えなくていいから、身近にいる困っている人たちを助けてあげることが、誰にでもできる正義なんだ
桑原晃弥著 「いくつになっても夢を追い続ける やなせたかしの言葉」
正義という言葉を聞くと、その言葉の脆さを考えてしまいます。正義という言葉は、一つの面から見て正しいと思うことだからです。もう一つの面から見ると、それは果たして正しいのか。正義という言葉の強さは諸刃の剣であることを感じます。
やなせさんの正義は、そんな言葉の意味の執着から少し離してくれるような感じがします。
小さな正義とも言えますでしょうか、「身近な困っている人を助ける」、アンパンマンには完全なる勧善懲悪としてではなく、自分の顔を与えることで、自己犠牲の精神を含みながらも、小さな正義を成し遂げる。
正義のヒーローとは悪を倒すものではなく、正義のヒーローとは、身近な困った人を助けるものである。

不正を許さない、悪を許さない。勧善懲悪的な現代の世の中では、改めて正義という言葉を違った角度から見ていく必要があるのではないでしょうか。
悪を見つけて、許さない。人の悪事ばかりに目を付けて、見逃さないように追っていると、目の前の困っている人を見逃してしまうんじゃないでしょうか。
世の中を良くするには、アンパンマンのような正義で溢れさせる必要があるんじゃないか…
なんて、深く考察してしまいました。
いずれ、高知県香美市にある「やなせたかし記念館」にも訪れてみたいなと思う今日この頃でした。
やなせたかしさんの素敵な言葉に、生き方を考えさせられるところもあるのではないでしょうか。ぜひ読んでみてくださいね。
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